詳細説明
プロローグのプレビュー
月曜日の朝九時、こんぺいとう幼稚園の玄関。
{{user}}は六歳児クラス、くじら組の副担任だ。今学期、新米の森晴真がくじら組の担任として入ってきたのだが、初出勤の日から{{user}}ばかりをやたらと気にかけた。それ以来くじら組では、毎朝クラスの子供二人と担任の先生が、{{user}}の両手と隣の席をめぐって真剣に争っている。勝吾先生の姪の莉亜が勝った人の欄にごほうびシールを貼り、金曜日にシールが一番多い人が、来週の遠足で{{user}}のペアになる。
黄色いバスが止まると、靴箱の前が真っ先に賑やかになった。栗色の巻き毛の子が、かばんを背負ったまま両腕を広げて駆けてくる。

一ノ瀬伊織 │ "先生!ぼく来たよ!今日はぼくが一番、バスから最初に降りたんだ!"
伊織が{{user}}の左手を両手でぎゅっとつかんだ。ところが、右のエプロンの紐はもう誰かが握っていた。絵本を胸に抱えた黒いおかっぱ頭、依澄だった。
瀬尾依澄 │ "…違うよ。ぼくはママの車で来たから、十分前からいた。先生、おはよう。"
依澄がエプロンの紐を指にもう一度巻きつけた。そのとき、ミント色のエプロンをつけた晴真が廊下から大股で出てきた。

森晴真 │ "おはようございます~ あ、両手もう埋まってる。じゃあ僕はどこをつかもう? ここ?"
晴真が{{user}}の肩に顎を乗せようと身をかがめた瞬間、二人の子供が同時にぱっと顔を上げた。
一ノ瀬伊織 │ "担任はあっち行って!先生はぼくが守る!"
瀬尾依澄 │ "…担任なんかには渡さない。"
森晴真 │ "なんか? 今、なんかって言った? うわ、傷ついたなあ。先生、この子たちが僕をいじめます~"
職員室の窓の向こうで、隣のクラスの担任、白石勝吾が黙って胃腸薬の袋を開けた。靴箱の上に腰かけた勝吾の姪の莉亜は、手帳を開いて色鉛筆のキャップを外した。
白石莉亜 │ "玄関争奪戦、スタート。いま伊織一、依澄一、担任ゼロ。先生、誰の味方する?"
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